さほちゃんの病状について

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咲帆ちゃんの病状について

咲帆ちゃんの病態について                      平成24年6月16日
 文責:土谷総合病院 小児科 田原昌博

 正常な心臓は、心房から心室へ血液を送り、心室からそれぞれ肺動脈、大動脈へ血液を駆出しています。何らかの原因で、心拍出量が低下すると、心不全を発症します。
拘束型心筋症は、心筋の拡張や肥大はなく、収縮力も正常であるのに、心室の壁が硬くなって拡張不全を呈する原因不明の病気です。心室の拡張不全に伴い、静脈還流不全(鬱血性心不全)を呈し、肺鬱血症状として、咳嗽、息切れ、体鬱血症状として、浮腫、肝腫大、頚静脈怒張などを生じます。さらに、拡張型心筋症などとは異なり、心臓の動きが悪くなると、肝不全、肝硬変、腎不全、肺高血圧に進行しやすいと言われています。
また、乳幼児期発症の場合は、心臓が大きくなれないために、身体の成長に心臓の大きさがついていくことができず、症状が急速に進行することが知られています。2歳未満発症の場合は特に予後不良であり、だいたい発症後3年以内に亡くなると言われています。
 有効な治療法は無く、救命のためには心臓移植を行うしかありません。また、現時点では延命のための補助人工心臓も付けることもできません。
心臓移植とは、死亡した方(脳死)から心臓の提供を受け、これを植え込み、この新しい心臓を維持して心不全から脱却し、延命を計ることを目標とする治療法です。臓器提供者(ドナー)とそのご家族の尊い意思があってはじめて成り立つ医療行為です。2010年7月に臓器移植法が改訂され、本人の拒否の意思が無く、家族が同意した場合、15歳未満からの臓器提供が可能となり、法律上は小児への心臓移植の道が開けた形になっています。しかし実際には、現時点で10歳未満のドナーからの心臓移植は1例しか行われておらず、心臓移植しか助かる手段の無い拘束型心筋症の乳幼児の場合は、家族に非常に厳しい決断を迫られることとなります。
2歳未満発症の拘束型心筋症の場合、進行が早く、肝不全や腎不全に至れば移植することができなくなります。また、例え今後もドナーが現れたとしても、すでに待機している拡張型心筋症などの補助人工心臓の付いた子が優先されるため、現時点では国内での心臓移植の可能性はほとんど皆無に等しい状況です。ゆえに、2歳未満発症の拘束型心筋症の場合は、発症した時点で海外での心臓移植を考慮すべき、と言われています。

菊地咲帆ちゃん  平成22年3月11日生まれ
1歳9ヶ月頃から腹部膨満が気になり始め、1歳11ヶ月頃から咳嗽、易疲労感、活動性低下などを認めています。2歳になり、しんどくて座り込むようになったため、近医を受診され、著明な肝腫大と心エコー上の両側心房拡大を指摘され、平成24年3月に当科へ紹介入院となりました。入院時には、鬱血性心不全として、浮腫、肝腫大、咳嗽、息切れ、易疲労感などの症状が見られました。
入院後の検査で、拘束型心筋症と診断し、5月に日本循環器学会心臓移植委員会から心臓移植適応の承認をもらっています。また、5月にはアメリカのミシガン大学病院での心臓移植受け入れが決定しました。
 現在、当院で利尿剤、血管拡張剤、強心剤などの投与を行いながら渡航移植に向けて準備を進めている状況です。


田原先生の講演資料のダウンロードはこちらから☞sahochan616.pdf

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